大阪砲兵工廠荷揚げ門――夜の門番

大阪城公園の一角に、かつて大阪砲兵工廠で使われていた荷揚げ門が残っています。

昼間に見ると、ただ静かに佇む古い門です。

しかし、夜になると、この場所では妙な音を聞いたという話があります。

ある男性が、深夜に大阪城公園を歩いていたときのことでした。

人通りもほとんどなく、辺りは静まり返っていました。

男性が荷揚げ門の近くまで来た、そのときです。

「……ガタン」

背後から、金属がぶつかるような音が聞こえました。

振り返っても、誰もいません。

気のせいだと思い、再び歩き出します。

すると今度は、

「ガラ……ガラ……」

何か重いものを引きずるような音が、門の奥から聞こえてきました。

男性は足を止めました。

周囲を見回しても、音の正体は分かりません。

その直後――

「カン……カン……カン……」

今度は、遠くから金属を叩くような音。

まるで、誰かが夜中まで工場で作業を続けているようでした。

男性が門の方を見ると、暗闇の奥に人影が立っていました。

作業服のような服を着た人物です。

男性は声をかけようとしました。

しかし、その人影は微動だにしません。

そして突然――

ゆっくりとこちらを向きました。

顔は、暗くてよく見えません。

ところが、その人物が一歩こちらへ近づいた瞬間、

「……まだ荷物が残ってる」

低い声が聞こえました。

男性は恐ろしくなり、その場から走って逃げました。

しばらくして振り返ると、門の前には誰もいません。

ただ、

「カン……カン……」

あの金属音だけが、夜の静けさの中で響いていたそうです。

大阪砲兵工廠では、かつて多くの人々が働き、軍需品の製造や運搬が行われていました。

今ではその多くが失われ、静かな公園となっています。

けれど、夜の荷揚げ門に立つと――

かつてここを行き交った人々の足音や、重い荷物を運ぶ音が、今もどこかに残っているように感じるかもしれません。

そしてもし夜の門の前で、

「ガラ……ガラ……」

何かを引きずる音が聞こえてきたら。

振り返らないほうがいいのかもしれません。

その音は、まだ仕事を終えていない誰かが、暗闇の中で荷物を運び続けている音なのかもしれないのです。

コメント