和歌山森林公園「増えた人数」
深夜の和歌山森林公園。
昼間なら、恐竜のオブジェが並ぶ、どこかのどかな公園だ。
しかし夜になると、街灯の少ない園内は一気に雰囲気を変える。
その日、大学生の男女6人は、肝試しのために公園を訪れていた。
「本当に何も出ないって」
先頭を歩く男が笑いながら言った。
スマートフォンのライトだけを頼りに、6人は暗い道を進んでいく。
前には4人。
少し離れて、後ろに2人。
その並びは、途中まで何も変わらなかった。
ところが――
後ろを歩いていた一人の女性が、ふと前方を見た。
「……あれ?」
先頭の4人の右端に、誰かが立っている。
白っぽい服を着た、小さな人影。
最初は友人の一人だと思った。
だが、人数を数えてみる。
「……1、2、3、4……」
4人。
そして、その横にもう一人。
「……5人?」
女性は立ち止まった。
「ねえ……前、5人いるよね?」
隣の友人が笑った。
「何言ってんの。4人だろ」
そう言って前を見る。
確かに4人しかいない。
さっきまで右端にいた「もう一人」は消えていた。
「見間違いかな……」
そう思って歩き始めた、その時だった。
前方から、かすかな声が聞こえた。
「……お父さん」
6人は一斉に足を止めた。
誰も何も言わない。
すると今度は、もっと近くから――
「……お母さん」
子供のような声だった。
「今の……誰?」
誰も答えられない。
怖くなった6人は、急いで引き返すことにした。
来た道を戻り、出口へ向かう。
その途中、女性が何気なく後ろを振り返った。
そこには――
白い服を着た小さな女の子が立っていた。
暗闇の中で、じっとこちらを見ている。
女性が叫んだ。
「いる!」
全員が振り返る。
しかし、そこには誰もいない。
「早く帰ろう!」
6人は一斉に走り出した。
そして、駐車場に到着した。
車に乗り込み、全員が息を切らしている。
「……人数、いる?」
一人が確認する。
「1、2、3、4、5、6……」
全員いる。
誰も欠けていない。
その瞬間だった。
車の後部座席から、
「……7人」
という声がした。
全員が凍りついた。
ゆっくりと後ろを見る。
誰もいない。
だが――
窓ガラスには、小さな手形が一つ。
内側から押しつけられたように、くっきりと残っていた。
その手形の横に、指で書いたような跡があった。
――「いっしょに帰ろう」
それ以来、その6人は二度と和歌山森林公園には近づかなかったという。
そして、この公園では今でも、
「夜に人数を数えると、一人増えている」
そんな噂が囁かれている。
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