布勢運動総合公園――誰もいない競技場から聞こえる足音
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夜の布勢運動総合公園。
昼間は多くの人が訪れ、スポーツを楽しむ場所だが、日が落ちると広い敷地は一気に静まり返る。
これは、ある男性が仕事帰りに公園へ立ち寄ったときの話だ。
その日は帰宅する前に少し散歩をしようと思い、夜の公園を歩いていた。
街灯の明かりを頼りに、陸上競技場の近くまで来たときだった。
「……タッ、タッ、タッ」
どこからか、走っているような足音が聞こえてきた。
最初は誰かがトレーニングをしているのだと思った。
しかし、周囲を見回しても人の姿はない。
足音だけが、暗い競技場の奥から一定のリズムで聞こえてくる。
「タッ、タッ、タッ……」
気になった男性は、競技場のほうへ近づいていった。
すると不思議なことに、足音が止まった。
静寂。
風の音さえ聞こえない。
「気のせいか……」
そう思って帰ろうとした、その瞬間。
背後から、
「タッ……タッ……タッ……」
今度は、すぐ後ろで足音が聞こえた。
男性が振り返る。
誰もいない。
だが、足音だけは止まらなかった。
一歩。
また一歩。
まるで、見えない誰かが男性の背後を歩いているようだった。
怖くなった男性は、急いで出口へ向かった。
すると今度は、競技場のほうから大きな足音が響いた。
「タタタタタッ!」
まるで誰かが全力で走ってくるような音だった。
男性は振り返らず、そのまま公園を出た。
翌日、知人にその話をすると、知人は少し黙ったあと、こう言った。
「夜の公園って、誰もいないと思ってるときほど……気をつけたほうがいいよ」
男性が「何に?」と聞くと、知人は答えなかった。
ただ、
「もしまた足音が聞こえても、絶対に振り返らないほうがいい」
そう言ったという。
それ以来、男性は夜の布勢運動総合公園には近づいていない。
そして今でも、深夜の静まり返った公園では――
誰も走っていないはずの競技場から、
「タッ、タッ、タッ……」
という足音が聞こえることがあるという。
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