五台山――展望台に立つ女

深夜、友人と二人で五台山へ向かった。

昼間なら高知市内を見渡せる有名な場所だが、夜になると山道は一気に静かになる。

車のライトだけを頼りに坂道を上っていると、助手席の友人が突然、

「……今、女の人いたよな?」

と言った。

「どこに?」

「道路の端。白い服の人」

バックミラーを見た。

しかし、誰もいない。

気のせいだと思い、そのまま展望できる場所まで車を走らせた。

車を降りると、夜景が広がっていた。

ところが、妙なことに気づいた。

さっきまで隣にいた友人が、じっと山道の下を見ている。

「どうした?」

そう聞くと、友人は小さな声で答えた。

「……あそこに、女の人が立ってる」

指差した先。

街灯の届かない暗闇の中に、白い服を着た女が立っていた。

こちらを向いている。

顔までは見えない。

「声かけるなよ」

そう言った瞬間――

女が一歩、こちらへ近づいた。

二歩。

三歩。

距離が縮まっていく。

だが、足音がしない。

友人が慌てて車へ戻ろうとした、そのときだった。

背後から、

「……待って」

女の声が聞こえた。

二人とも振り返らなかった。

車に飛び乗り、急いで山を下った。

しばらくして、友人が震えながらスマートフォンを見た。

「なあ……これ、何だと思う?」

画面には、さっき撮影した夜景の写真。

しかし写真の隅に、見覚えのない白い影が写っていた。

そして、その影の顔だけが――

こちらを向いていた。

さらに恐ろしかったのは、その写真を撮った時間だった。

写真の記録には、

「午前2時13分」

と表示されていた。

二人が五台山に到着したのは、午前2時30分だった。

では、あの写真を撮ったのは――

一体、誰だったのだろう。

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