八幡山公園――夜の展望台

宇都宮の八幡山公園には、昼間なら家族連れや散歩をする人たちの姿がある。

しかし、夜になると公園は一気に静かになる。

これは、ある若者が深夜に八幡山公園を訪れたときの話だ。

その夜、彼は友人と別れたあと、一人で公園を歩いていた。

時刻は午前0時を少し過ぎた頃。

街灯の明かりを頼りに坂道を上っていると、前方に人影が見えた。

白い服を着た女性だった。

女性は公園の奥へ向かって、ゆっくり歩いている。

「こんな時間に?」

そう思いながらも、彼は気にせず後を歩いた。

ところが、女性が突然立ち止まった。

そして、こちらを振り返った。

顔はよく見えなかった。

ただ、じっとこちらを見ていることだけは分かった。

彼が立ち止まると、女性も動かない。

しばらくすると、女性は再び歩き始めた。

そのまま展望台の方へ向かっていく。

彼もなぜか、その後を追ってしまった。

展望台に着いたとき、女性の姿は消えていた。

周囲を見回しても誰もいない。

「帰ったのかな……」

そう呟いた瞬間だった。

背後から、

「ねえ……」

と、女の声がした。

振り返る。

誰もいない。

しかし、すぐ耳元で、

「どうしてついてきたの?」

と、もう一度声がした。

恐ろしくなった彼は、何も確認せず一気に階段を駆け下りた。

そして公園の外まで逃げた。

翌朝、彼は昨夜撮影した写真を何気なく確認した。

すると、展望台で撮ったはずのない一枚の写真が残っていた。

そこには、暗い公園の中に立つ自分の後ろ姿。

そして、そのすぐ後ろには――

白い服の女性が立っていた。

女性の顔は、写真ではっきりとこちらを向いていた。

だが、彼が最も恐ろしく感じたのは、その表情だった。

女性は笑っていた。

まるで、

「今度はあなたが、ここに残る番」

そう言っているかのように。

それ以来、彼は夜の八幡山公園には二度と近づかなくなったという。

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