岐阜公園――夜の石段に立つ女
岐阜市にある岐阜公園。
昼間は多くの観光客や家族連れで賑わう場所だが、夜になると園内は一気に静まり返る。
これは、そんな岐阜公園で起きたという、少し奇妙な話だ。
ある男性が、夜遅くに公園を訪れた。
用事を終えた帰り道、近道をするため、園内を歩いて抜けることにしたという。
時計を見ると、午後11時を少し過ぎていた。
昼間なら何とも思わない道だった。
しかし、夜の公園は別の場所のように感じられた。
街灯の明かりが届かない場所は真っ暗で、木々の間から聞こえる風の音だけが響いている。
男性は足早に歩いていた。
すると、前方の石段の途中に、人影が見えた。
女性だった。
白っぽい服を着て、こちらに背を向けたまま、じっと立っている。
こんな時間に、なぜ一人でいるのだろう。
そう思った男性は、少し距離を取ったまま女性の横を通り過ぎようとした。
その瞬間だった。
女性が突然、ゆっくりと振り返った。
顔が見えた。
だが、男性は思わず立ち止まった。
女性の顔は、異様なほど無表情だった。
そして、目だけがこちらを見ていた。
男性は怖くなり、何も言わずにその場を離れた。
数十メートルほど歩いたところで、後ろを振り返った。
女性はいなかった。
石段にも、その周辺にも人影はない。
安心した男性は、そのまま公園を出た。
ところが翌朝。
昨夜のことが気になった男性は、もう一度同じ場所を訪れた。
そして、石段の近くで奇妙なものを見つけた。
そこには、濡れた足跡が残っていた。
石段の下から上へ向かって、女性のものと思われる足跡が続いている。
しかし、足跡は石段の途中で突然消えていた。
上にも、下にも続いていない。
まるで、そこに立っていた誰かが、その場所で突然消えてしまったかのようだった。
男性はそれ以来、夜の岐阜公園には近づかなくなったという。
岐阜公園は、歴史ある場所として知られている。
だからこそ、夜の静かな園内には、昼間には感じられない独特の雰囲気がある。
もし夜に訪れることがあっても、人気のない場所には近づかないほうがいい。
あなたが石段の途中で、こちらに背を向けて立つ女性を見つけても――
決して、声をかけないことだ。
コメント
コメントを投稿