霞城公園の怖い話――夜の城跡に立つ女

山形市にある霞城公園。

昼間は桜の名所として多くの人が訪れ、歴史を感じさせる静かな公園だ。

しかし、この場所には昔から、夜になると「誰もいないはずなのに人の気配を感じる」という噂がある。

ある夏の夜、大学生のAさんは、友人二人と霞城公園を訪れた。

時刻は午後11時を過ぎていた。

「こんな時間に来る場所じゃないだろ」

友人が笑いながら言った。

三人は冗談半分で、城跡の周辺を歩き始めた。

昼間なら何でもない道だった。

ところが、奥へ進むにつれて、周囲が妙に静かになっていく。

虫の声さえ聞こえない。

そして突然――。

「……カン……カン……」

遠くから、何かを叩くような音が聞こえた。

三人は足を止めた。

音は一定の間隔で続いている。

「誰かいるのか?」

Aさんが声を上げた。

返事はない。

それでも音だけは、

「カン……カン……カン……」

と続いていた。

気になったAさんがスマートフォンのライトを点け、音のする方向へ歩いていった。

すると、木々の向こうに人影が見えた。

白っぽい服を着た女性だった。

女性は三人に背を向け、じっと立っている。

「すみません……大丈夫ですか?」

Aさんが声をかけた。

その瞬間。

女性の首だけが、ゆっくりとこちらを向いた。

顔は暗くてよく見えない。

だが、なぜか三人には「笑っている」ように見えた。

そして女性が小さな声で言った。

「……まだ、帰らないの?」

その言葉を聞いた瞬間、三人は一斉に走り出した。

後ろを振り返ることはできなかった。

ただ、背後から――

「カン……カン……」

あの音だけが、ずっと追いかけてきた。

ようやく公園の外へ出た三人。

息を切らしながら振り返ると、そこには誰もいなかった。

Aさんは震える手でスマートフォンを確認した。

すると、さっきまで撮影していたはずの動画が一つだけ残っていた。

再生してみる。

映っていたのは、暗い公園の道。

そして画面の端に、白い服の女性が立っている。

だが、三人がその場を走り去ったあとも、女性は動かなかった。

動画の最後。

女性がカメラの方を向き、口を動かしていた。

音声を最大まで上げると――。

「……帰るのは、あなたたちじゃないよ」

その瞬間、動画は途切れた。

それ以来、Aさんは夜の霞城公園には二度と近づいていないという。

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