浜田廃車置場・スクラップ置き場の怖い話
深夜、午前1時を少し過ぎたころだった。
友人のAとB、そして俺の3人は、以前から噂を聞いていた「浜田廃車置場・スクラップ置き場」へ向かっていた。
そこは昼間なら、古い車や金属のスクラップが積み上げられた、ただの廃車置き場に見える。
しかし、夜になると雰囲気が一変する。
「ここ、本当に入るの?」
車を降りたAが、周囲を見回しながら小さな声で言った。
月明かりの下には、何台もの廃車が並んでいた。
フロントガラスが割れた車。
ドアが外れかけた車。
タイヤのない車。
そして、そのすべてがこちらを向いているように見えた。
俺たちはライトを手に、ゆっくりと奥へ進んだ。
すると突然――
「……カン」
金属を叩くような音がした。
3人とも足を止めた。
「今の聞いた?」
Bがそう言った直後、
「カン……カン……」
また音がした。
音は、積み上げられたスクラップの奥から聞こえてくる。
誰かがいる。
そう思った俺たちは、ライトを向けながら近づいていった。
しかし、そこには誰もいなかった。
ただ、潰れた車が一台、置かれているだけだった。
そのときだった。
車の中から、
「……助けて」
小さな声が聞こえた。
一瞬、3人とも凍りついた。
「今、聞こえたよな?」
Aの声が震えている。
俺は恐る恐る車内を照らした。
シートもハンドルも泥だらけ。
人の姿はない。
だが、後部座席の窓には――
内側から手を押しつけたような跡が、いくつも残っていた。
「帰ろう」
Bが突然言った。
俺たちは何も言わず、急いで入口へ戻った。
ところが、途中でAが立ち止まった。
「……待って」
Aが振り返っている。
「どうした?」
「3人で来たよな?」
その言葉に、俺は嫌な予感がした。
「当たり前だろ」
「じゃあ……あそこにいるの、誰?」
Aが指差した先。
数十メートル離れた場所に、一台の古い車があった。
その車の横に――
人影が立っていた。
長い髪。
細い身体。
そして、こちらをじっと見ている。
「走れ!」
誰が叫んだのか分からない。
俺たちは一斉に走り出した。
後ろを見ることはできなかった。
ただ、背後から、
「カン……カン……」
という金属音だけが、ずっと追いかけてきた。
ようやく車に乗り込み、エンジンをかける。
その瞬間。
後部座席から、
「……どうして置いていくの?」
という声が聞こえた。
3人とも声を失った。
そして翌朝。
明るくなってから車を確認すると、後部座席の窓に泥の手形が残っていた。
しかも、その手形は――
外側ではなく、
車内側についていた。
それ以来、俺たちは二度と浜田の廃車置場には近づいていない。
ただ、Aだけは今でも言う。
「最後に聞こえた声……あれ、女の声じゃなかった」
「じゃあ、誰だったんだ?」
そう聞くと、Aは決まって黙り込む。
そして、小さな声でこう答える。
「……俺たち3人の中の、誰かの声だった」
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