大川寺遊園地――閉園した遊園地から聞こえる声

富山県の山あいに、かつて子供たちの歓声で賑わっていた遊園地があった。

その名は――大川寺遊園。

ジェットコースターや観覧車など、たくさんの遊具が並び、休日になると家族連れで賑わっていたという。

しかし、時代が変わるにつれて客足は減り、1996年、遊園地は閉園した。

それから長い年月が流れた。

遊具は撤去され、かつての賑やかな面影は消えていった。

ところが、閉園後、この場所では奇妙な噂が囁かれるようになった。

「夜になると、子供の笑い声が聞こえる」

「誰もいないはずなのに、人の気配がする」

そして、いつしかこんな噂まで広がった。

――少女の霊が現れる。

ある夏の夜。

一人の男が、遊園地跡の近くを車で通りかかった。

時刻は午前1時を過ぎていた。

周囲にはほとんど明かりがなく、車のヘッドライトだけが暗闇を照らしている。

すると突然、

「……あはは……」

遠くから、子供の笑い声が聞こえた。

男は思わずアクセルから足を離した。

空耳だろう。

そう思った。

しかし、しばらくすると、

「……あはははは……」

今度は、はっきり聞こえた。

しかも声は、少しずつ近づいている。

男は車を停め、窓を閉めた。

静寂が戻った。

ところが数秒後――

コン……

コン……

誰かが車の窓を叩いた。

男は凍りついた。

外を見る。

誰もいない。

もう一度、

コン……

今度は反対側の窓から音がした。

恐る恐るバックミラーを見る。

そこには――

白い服を着た小さな女の子が立っていた。

俯いているため、顔は見えない。

男が振り返った瞬間、少女の姿は消えていた。

「……今のは、何だったんだ?」

そう呟いた直後だった。

車内の後部座席から、

「ねえ……」

小さな声が聞こえた。

男の全身から血の気が引いた。

ゆっくりと振り返る。

そこには誰もいない。

だが、座席には小さな水滴がいくつも落ちていた。

そして、その水滴の先には――

小さな裸足の足跡があった。

後部座席から、運転席へ。

一歩。

また一歩。

足跡は男のすぐ後ろまで続いていた。

そして最後の一歩だけが、運転席の真横で止まっていた。

男は車を急発進させ、その場から逃げた。

翌朝。

恐る恐る車を確認すると、後部座席には何もなかった。

ただ、窓ガラスの内側に、小さな指で書かれたような文字が残っていた。

――「もう一回、遊ぼう」

男は二度と、その場所へ近づかなかったという。

そして今でも、大川寺遊園地の周辺では、夜になると子供の声を聞いたという噂が残っている。

遊具がなくなっても。

遊園地が閉園しても。

そこで遊んでいた「誰か」だけは、まだ帰っていないのかもしれない。

夜の静寂の中で、もし遠くから子供の笑い声が聞こえてきたら――

決して、その声を追いかけてはいけない。

その声の主が、

「もう一回、遊ぼう」

と、あなたを呼んでいるかもしれないからだ。

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