2016年10月11日火曜日

【恐怖体験】南方仮面の間


141 : 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/[sage] 投稿日:2015/03/14(土) 05:28:07.81 ID:m0vMDeTK0.net [1/4回]
うちのビルには「南方仮面の間」と言われてる一角がある。
ビルのオーナーが南方の仮面を集めてるんだ。
 東南アジアとかアフリカとかニューギニアで、部族が儀式で被るような仮面だね。

そこはビルのオーナーが経営してる会社の事務所前。
 最上階の踊り場に設けられているスペースだ。
 仮面は様々で、ユニークな物もあれば気味が悪い物もある。
 屋上は休憩所なので、ビルの入居者はよく使うんだが、
 行くためには必ず仮面たちの中を通る。
そういうわけで、この場所はちょっとした名物なわけだ。

 面白い場所だと思ってるか、仮面には無関心か、大半はどちらかだ。
だが、何となく気味の悪さを感じて敬遠する人もいる。
 自分は後者だ。
 得体の知れない何かがいる様な気配を感じる。
 誰かに見られているような、視線が向けられている様な、そんな感じは行く度にある。
 何度か袖を引っ張られたように感じたこともあった。
そういうわけで、用がなければ近寄らないようにしていた。




142 : 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/[sage] 投稿日:2015/03/14(土) 05:53:21.01 ID:m0vMDeTK0.net [2/4回]
ある晩、自分は残業する羽目になった。
このビルで働く人は、ほとんどが夕方頃には帰ってしまう。
 夜は一人だけでビルの中に残されるわけだ。

 真夜中のビルは静かだった。
キーボードの音、表通りを時々通る車の音、換気扇の音、それら以外の音がない。
 廊下も部屋も消灯されて真っ暗だ。
 自分のデスクライト以外には明かりもないだろう。
 何とも寂しい雰囲気の中、一人で黙々と作業をしていた。

 書類を書いている中で、同僚のアドレスを打ち込む場面に出くわした。
が、覚えていない。
ケータイのアドレス帳から探そうと思い、ケータイを取ろうとしたが・・・
 ケータイがいつもの場所にない。どうやらケータイをなくしたらしい。
 最後にケータイを見た場所を思い返してみた。
・・・そういえば、屋上で昼食を食べた時、アプリを見せ合った。
ケータイに触ったのはそれが最後だ。
どうやら、昼食を食べた時に使ったベンチに置き忘れたようだ。
 面倒だが・・・仕事を中断し、屋上までケータイを取りに行くことにした。

 夜はビル全体が消灯している。廊下も階段も真っ暗だ。
 豆電球がついたキーホルダーライトがあったので、それを頼りに階段を進んだ。
 足元を照らしながら慎重に進んだ。



144 : 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/[sage] 投稿日:2015/03/14(土) 06:26:27.50 ID:m0vMDeTK0.net [3/4回]
階段を上り、最上階の手前まで来た。
そのとき、ふと誰かがいる気配を感じた。
 自分のすぐ上・・・南方仮面の間から気配がする。
 真っ暗闇の中だが、確実に誰かがいる。
ゆっくりと視線を上に移しながら、ライトで照らしてみた。
すると、そこには誰もいない。
 気のせいだったか?
そのまま屋上まで上がって行ったが、その途中も気配は感じた。

 屋上でケータイを回収し、階段を下りて行った。
やはり、帰りも気配を感じた。
 気になったので周囲を照らしたが、誰もいない・・・。
 何気なく、仮面を一つずつ照らしながら、仮面を眺めた。
 夜の暗闇の中でみる木彫りの仮面は、かなり不気味だった。

ある仮面を照らしたとき、一瞬目を疑ったが、冷汗がどっと出て動けなくなった。

 仮面の目に空けられた二つの穴の中に、二つの目玉があったのだ。
 目玉はこちらをじーーっと眺めている。
 見た目は人間の目玉そのものだ。
あまりの恐ろしさに声も出なかったし、腰が抜けそうになった。
こちらと視線を合わせたまま、自分は後ずさりした。
 目を合わせるのは恐ろしかったが、照明と目線は離せなかった。
 暗闇になった途端、向かってくるかもしれないと思ったからだ。
こちらが動くと、動きに合わせて目玉もゆっくりと動いた。

 下り階段の手前まで来たとき、視線とライトを仮面から外した。
それと同時に、全速力で階段を駆け下りた。
 途中でこけそうになったが、構わず走って逃げた。
 事務所の中まで戻り、すぐに入り口ドアの鍵をかけた。
そして、朝まで部屋から一歩も出ずに過ごした・・・
一晩中、廊下が気になって仕方なかったが、部屋に戻ってからは大丈夫だった。



145 : 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/[] 投稿日:2015/03/14(土) 06:27:54.06 ID:m0vMDeTK0.net [4/4回]
後日、オーナーに彼が集めている仮面について聞いてみた。
 信じて貰えなさそうなので、あの晩の事は話さなかったが・・・

 オーナーは言った。
 飾られている仮面の中には、呪術的な儀式に使う物も結構あるという。
 祖国ではシャーマンや祈祷師が使う場合もあるそうだ。
 祖霊や精霊を召喚する儀式に使ったりするのだとか・・・。
 自分はこの話を聞いて納得した。
 仮面から気配を感じたこと、あの晩に目玉を見たこと、そういった変な話についてだ。
そんな物を気軽に買ってきて飾るなよ、と思ったが・・・

自分が遭遇した怪奇の話をしても、信用しないだろうし、苦笑いするだけで済ませた。
とりあえず、夜は仮面に絶対近寄らないようにしようと思った。

こんな機会だから言えるけど、南方の土産物には結構やばい物もある。
ガチの呪物とか儀式用が混ざっているからだ。
 皆も見かけたときに変な雰囲気を感じたら・・・気を付けたほうが良いかもね。

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