2016年10月25日火曜日

【後味の悪い話】暴君の皇帝は民衆を苦しめていた


39 : 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/[sage] 投稿日:2015/04/06(月) 20:42:40.35 ID:TgepZeiw0.net [1/2回]
「弥勒乱入」陳舜臣

昔々の中国、随は煬帝の頃
暴君の皇帝は民衆を苦しめていた

皇帝は好色で各地で美女狩りを行い、多くの女を後宮に集めた
Aという男の美しい妹も美女狩りで後宮に入っていた
単純なAは妹が皇帝の寵愛を受けるかもしれないと喜んでいた
その妹が死んだという
知らせを持って来たのは、Aと親しいBという男だ
Bは妹の遺品だというハンカチを見せ、こう語った

…皇帝は軍隊と後宮の宮女を大勢連れて旅行に出かけ、その帰りに大吹雪で遭難した
皇帝は大きなテントを張らせたが、自分のお気に入りしか中に入れてやらなかった
吹雪の表に放置された兵士と宮女たちは大半が凍死した
死者の中にAの妹もいた…

Aはひどく悲しんで妹を吹雪の中に追い出した皇帝をうらんだ
Bは世直し反乱グループを組織していると明かし、Aを誘った

打倒暴君の気持ちになっていたAは自分の子分を連れて仲間に入った
反乱グループは当時流行っていた「弥勒信仰」を利用して皇帝の城の門内に侵入する
だが衛兵と戦って勝てるわけもなく、城門に火を放って暴君を罵倒しながら皆殺しにされた

この事件の噂は国中に広まり、後に次々と起こった反乱のきっかけとなったという
乱世の中で酒色に逃避していた皇帝はついに殺された
皇帝が死んだので後宮の女性達は解放された
その中に、Aの妹もいた

なんと妹は生きていた!

それどころかあの大吹雪の旅行にも連れ出されず、ずっと後宮にいたのだ


40 : 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/[sage] 投稿日:2015/04/06(月) 20:43:19.84 ID:TgepZeiw0.net [2/2回]
なぜAの妹は死んだ事にされたのか?

Aから「後宮に妹がいる」と聞いたBは、後宮に清掃で出入りする婆さんを使って妹を探させた
後宮の宮女は外部と接触を断たれるので、妹は兄Aの消息を知りたがっていた

婆さんは「兄を探すために妹だという証拠の品がいる」と言い、妹は以前兄が買ってくれたハンカチを預けた
ハンカチはBの手に渡り、それを使って「妹の遺品だ」とAを騙して皇帝への憎しみを煽った
子分が大勢いるAを反乱グループに引き入れるために仕組んだ事だった

皇帝が死んだ後、婆さんは妹に「兄さんは見つからず、ハンカチもなくした」と謝る
妹はがっかりし、大事な兄の形見まで失ったことを悲しむ

後宮から解放されたが行く当てのない妹を、婆さんは「一緒にお寺で下働きををしよう」と誘う
この寺とは弥勒信仰の寺で、Bも婆さんも弥勒信者だった

婆さんは黙っていたが、BもAも死んで弥勒菩薩の所に行ったと考え、内心うらやましがっていた
兄が死んだと知らない妹は、婆さんに連れられて弥勒教の寺に旅立って行ったとさ

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