72 : 本当にあった怖い名無し[] 投稿日:04/08/13 00:34 ID:ebdr4wkN [1/3回]
私が体験した本当のお話です。
もう3年以上たちますが、ある専門学校に通っていた私は
昼は学校、夜アルバイトという生活を送っていました。
お金が足りなくて、たまに親にねだって送金してもらい
なんとか毎日を過ごせていました。夏期講習のスケジュールを
書き写していたとき、友達が私に旅行へ行かないかと誘いました。
夏期講習を調整し、バイト先に許可をもらい、友達同士四人で
海へ二泊三日の旅行をすることにしました。
変な話ですが、旅行の資金を確保するため、私はほとんど毎日
食パンにジャムという食生活でした。
もちろん、動物性たんぱく質に少しばかりあこがれましたが
旅行へいくため、ずっと我慢していました。
旅行の2~3日前から、胃の調子が悪く、胃液がこみあげました。
その時の口の中に、生臭い臭気が漂って気持ち悪くて
薬局で胃腸薬を買い、その日はアパートで休んでいましたが
次の日もやはり生臭いものが、胃から湧き上がってくる感じ。
でも、ようやく収まってなんとか楽しみにしていた旅行へ
いくことができました。
私と、3人の女の子。一人だけ私とは面識のないSという子がいました。
けっこうおしゃれな子で、しゃべると面白く、明るい感じの子でした。
旅館に到着し、チェックインを済ませ、海へ泳ぎに行きました。
男の子から声をかけられたりして、すこしスリリングで、時間の経つのも
わすれて浜にいました。
旅館に戻り、露天風呂に入って部屋に戻り、食事の時間。
そのときの席の配置は、四角いテーブルに私、私の横と向かいがわに友達
そしてSは斜め前でした。
73 : 本当にあった怖い名無し[] 投稿日:04/08/13 00:35 ID:ebdr4wkN [2/3回]
すっかり、おなかがすいて目の前には海の幸。わたしたちは喜んで
「いただきまーす」って飛びつきました。
するとSがいきなりです。お刺身をわしづかみにして、自分の口へ
押し込んだんです。「ちょっとちょっとあんた!」友達の一人が
驚いてSをとめましたが、彼女は目をかっと見開き、まるで犬が
えさを食べるように歯を剥き出しにして、お刺身を食べるんです。
そこらじゅう、食べ物が散らばって、あまりの出来事に私たちは
言葉を失い、呆然としていました。もうひとりの友達は怖くて
涙を浮かべていました。彼女の体を無理やりテーブルから引き離し
座布団をならべて彼女を座らせ、寝かせようとしました。
最初、力んで体を硬直させていたけど、座布団に座らせたとたん
力が抜けたようにだらんとなり、口を半開きにして上目遣いで
私たちをボーっと眺めていました。
もう、食事どころではありません、私たちはてんかんのように、何かの
発作の一種か、もともと彼女に精神的な病気があったのか、いろいろ
思案していましたが、結局、交代で彼女を看ることにしました。
ようやく気を取り戻したのか、彼女は泣きながら「わたし、変なこと
したでしょう?」と私たちにあやまりました。
彼女はそれを覚えていないようなので、一部始終を話すと「明日、私だけ
かえるね」と一言つぶやきました。私たちもそのほうがいいと思いました。
76 : 本当にあった怖い名無し[] 投稿日:04/08/13 00:49 ID:ebdr4wkN [3/3回]
ほんとうに怖かったのはその夜です。
寝床についた私たちは気をとりなおし、冗談も言えるようになって
和気あいあいと夜遅くまで語り合いました。
Sが先に眠り、続いてもう一人が眠り、私と最後までおしゃべり
していた子も「もうねようか」って切り出し「本当に今日は大変
だったね」と私が言うと彼女が「あんたは大丈夫?」って言うんです。
「何が?」
「あんたもやりかけたんだよ」
私がSと同じようなことをやろうとしていたと、彼女は語りました。
もちろん、私にはそんな記憶はありません。半信半疑で、とても
気持ち悪くて、眠気が消し飛んでしまいました。
真夜中、みんな寝静まったと思っていたら、くっくっくって笑い声が
耳元で聞こえます。寝返りをうったら、横で寝ていたSが私のほうを
凝視して、それでも口元は笑っていて・・・。
私はとっさに、まともに相手をしてしまったらいけないと判断しました。
そして、まるで冗談を言い合っていた延長のようなかんじで
「なっによお~、も~」ってゆっくり寝返りを打って、おふとんを
かぶっていました。体がこわばって、朝まで震えていたと思います。
翌朝、早くにSは帰りました。私はSと目をあわすこともできず
見送りもしませんでした。もう、このときの友達とは会っていませんが
今でも思い出すのは、旅行前に胃がわるかったこと。
生臭いものがこみ上げていたのは、あれはなんだったんだろうって。
おわりです。
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