2016年10月30日日曜日

【恐怖体験】全身赤づくめの女の子 後編


992 : 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/[] 投稿日:2015/05/14(木) 12:08:59.41 ID:Ok+H4h3M0.net [6/10回]
その日の放課後、俺は隣のクラスの春香ちゃんという女の子のもとへ向かった。
春香ちゃんは、なんというか、よく言えば一風変わった、悪く言えば変人で、よく「あたし霊感強いんだ~」とか言って周りの女子をドン引きさせていた。
俺ももともと幽霊の存在なんて信じてなかったし、春香ちゃんとは幼馴染ってだけで特に仲良いとかじゃなかったけど、その時はもう藁にもすがる思いで、「春香ちゃんなら何か分かるかもしれない」って思ったんだ。
俺が凄い剣幕で現れたからか春香ちゃんも最初はびっくりしてたけど、俺の話を聞くにつれ次第に真剣な表情になっていった。
「それで、○○君はそいつに話しかけちゃったの?」
「うん…」
「今もそいつが見える?」
「いや、今は…でもさっき授業中に見たんだ。正門のとこからこっちを見てた。」
「そっか…」
それから10秒くらい沈黙が流れた。俺はとにかくそいつが何者なのか、何で俺に付きまとうのか知りたかった。
「あいつは何者なの?春香ちゃん何か感じる?」
「うーん…○○君に残ってるそいつの念、凄く強い。強い恨み。なんだろう、たぶんだけど、昔男の人に捨てられて自殺した女の霊だと思う。恨みが強すぎて、お母さんのお守りも全てを防ぎきれてないみたい。」
「何で俺に!?」
「似てるんだと思う。○○君が“持ってる”ものが。」
何を“持ってる”のかよく分からなかったけど、大体の事情は察した。
春香ちゃんは、自分には手が負えないから神社でお祓いをしてもらうといい、と言って帰って行った。




993 : 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/[] 投稿日:2015/05/14(木) 12:15:54.42 ID:Ok+H4h3M0.net [7/10回]
その日の夜、悶々としながらベッドに入った。
「あいつは俺に何を求めているんだろう」「俺は死ぬのだろうか」…。気付いたら眠りについていた。
その日の夜のこと。ふと目が覚めた俺は、スマホをいじって時間を確認した。
深夜の2時半。
まだまだ寝れるじゃん…と思い、もう一度眠りにつこうと身体の向きを左に変えた瞬間だった。

あの女がいた。ドアの向こうに。
俺の部屋のドアはところどころすりガラスで半透明になってるんだけど、あいつの顔と長い黒髪と真っ赤な服がはっきり見えた。
ガラスの向こうからこっちを見てる。
全身の筋肉が硬直して一気に胸の鼓動が早くなった。
ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ。
俺は枕元に置いてあった母ちゃんのお守りを握りしめて布団に身をくるめ、お守りを握りしめながら「母ちゃん助けて母ちゃん助けて…」と何度も祈った。

どれくらい時間が経っただろう。
数分だったかもしれないし、1時間くらいだったようにも感じた。
物音一つしない部屋の中、あいつがどこへ行ったのか、もしかしたらすぐそこに移動しているかもしれない、と気になって仕方がなかった俺はそっと布団の隙間からドアの方を見た。



994 : 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/[] 投稿日:2015/05/14(木) 12:18:43.86 ID:Ok+H4h3M0.net [8/10回]
あいつは居なくなっていた。
意を決して布団をガバっと外して辺り一面見回したが、あいつは居なかった。
「母ちゃんが守ってくれた」。そう思った。
手汗でぐしょぐしょになったお守りを握りしめ、母ちゃんありがとう、と呟いた。

次の日、俺は朝一で町はずれにある神社に向かった。
神社の奥から出てきたお坊さんに事情を説明して、除霊を頼むとお坊さんは快く引き受けてくれた。
除霊はメインの神社の奥にある小さな小屋みたいなとこで行われた。

お坊さんとその弟子的な男の人に挟まれて、お経を唱えて塩を振りかけられて終わり、みたいな。
30分くらい経って、「もう安心してください。霊は祓われました。」ってお坊さんに言われた。
なんだか予想外にあっさり除霊が終わったもんだから、不審に思って、「あの女は何だったんですか?」って聞いたら、
「あれはこの地で昔行われていた人柱の犠牲者たちの集合霊です」だって。

お坊さん曰く、俺が住んでいた地方では昔、平和を祈念する村の風習として10年に一度村の女を人柱として神に捧げていたんだそう。
あの女は人柱にされて殺された女たちの怨念が作りだした霊で、俺に憑いたのは本当に偶然だったという。
何て迷惑な霊だ、と思った。
同時に、そんな強い怨念を持った霊が、果たしてあんな簡単な除霊で成仏したのだろうか、と少し不安になった。



995 : 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/[] 投稿日:2015/05/14(木) 12:24:21.57 ID:Ok+H4h3M0.net [9/10回]
その帰り道、家に着くとそこにはパトカーが止まっていた。近所の人たちも心配そうに様子を見ている。
すぐに自分の家で何かあったことを察した。俺は急いで警察のもとへ駆け寄った。

「この家の者です!うちで何があったんですか!!」
「あー君この家の子?何で今まで気づかなかったのー。危ないとこだったよ?この家に女が1か月潜伏してたんだよ。」



俺は絶句した。
何が起きたかすぐに理解した。


あいつは霊なんかじゃなかった。
れっきとした人間だった。
あまりのショックに立ちくらみながらパトカーを見たら、後部座席にあいつがいた。
いつもと同じ真っ赤な出で立ち。
俺と目が合った瞬間、ニヤッとあのおぞましい笑顔で俺に笑いかけた。
そしてパトカーはそいつを乗せて去って行った。



996 : 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/[] 投稿日:2015/05/14(木) 12:27:34.77 ID:Ok+H4h3M0.net [10/10回]
あとから分かった話なんだけど、あいつは俺のストーカーで(何でただの高校生の俺にww)、俺と父親が家を空けている間に合鍵を作って侵入し、2階の物置部屋の押入れにある入口から天井裏に潜り込んでそこに潜伏してたらしい。
そんで俺たちが寝静まった深夜にこっそり降りてきて、ドア越しに俺のことを毎日眺めてたって…。
俺が神社に行ってる間に買い物をしに家を出たところをお隣さんが目撃して警察に通報したという。

ってか、事件が終わった安心もあるけど、それより「母ちゃんは別に俺のこと守ってなんかない」ってことの方がショックだったねwwあと、春香ちゃんもあの神社もマジで嘘っぱちばっか言いやがってww

でも何よりゾッとしたのが、警察の人が教えてくれた、取り調べでのあいつの言葉。
「○○君と一カ月過ごせて幸せだった」って…。

特に俺に危害を加えたわけではないという理由で(精神的被害やばいんですけど)、あいつに下った判決は執行猶予付き懲役1年2ヵ月。
あれから何か月経つっけ。
長文すんませんでした。

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